9/26/2008
NAOMI SOUTH インタビュー


phofa
創作活動を始めたきっかけは何だったんですか?
Naomi
全部の作品に影響してるかはわからないけど、“幼稚園のときに作った工作”が今でもどこかに影響してるかもしれない(笑)。お菓子のトンガリコーンの箱を使った工作だったんですが、あの箱って六角形じゃないですか。それにトイレットペーパーの芯を切ってタイヤのようにして、たくさん貼りつけて戦車みたいにしたんです。戦車を狙って作ったってよりは自然にそうなったというか……。自分自身、テーマを決めて作ることができなくて。結局、戦車になったこと自体、後づけだし。でも、それが自分の中では相当フレッシュな感じで。そんな過程が楽しかったんでしょうね。そういった感覚で作品を創ることが活動のきっかけになったのかも。
phofa
今でもそんな感覚を持ちながら、自然体で作品を創っているということ?
Naomi
自分が意図して描くのは最初の落書きくらいで、それだけだとイメージが膨らんでいかないんですよ。作業過程でどんどん想像が膨らんで、生き物が成長するかのように形を成していくんです。なんらかのストーリーが加わって、当初の落書きとはかけ離れた別なものになっていきますね。例えば、'07年の12月から大きなキャンパス作品を創作しているんですけど、最初にひらめいた光のようなものをベースに形にしていこうとするでしょ。だけど、作業を続けるうちに迷い始めて、最初にあったはずの光が消えてしまうんです。それで「あの光ってなんだったんだろう?」って最初に戻りたくなって……。そんな行ったり来たりの繰り返しを積み重ねて、もうどの自分が考えて作り出しているのかわからなくなっちゃう。結局、完成したときには「こういうの作ったんだ!!」って、まるで誰かがやったかのように、客観的に感じられるのが好きなんです。
phofa
長い旅を終えて、旅立ち前の自分と今の自分がいて、さらにそれを客観的に見ている自分がいるような(笑)。
Naomi
今までたくさんのものを作ってきましたが、そう感じられた作品が自分の中でも本当の作品になっていくという実感があります。それを代表するのが今回の作品で、セロテープやチェーンを使ったことが構造的にもかなり気に入っていて……。自画自賛になってしまうんですけど、本当にそんな感じなんです(笑)。
phofa
〈stop making sense〉というテーマについて、また実験を重ね創造性を刺激し構築していくNaomiさんのスタイルについて教えて下さい。
Naomi
短大生の頃、サンディエゴに行ってたんですが、ちょうどそのころ自分の作品に世界感っていうものを求めていた頃でした。そんな時にShepardに出会ったんです。彼は他の人が絶対やらないようなトンチが利いたことをやってくれるんですよね。
phofa
Shepard Fairey (OBEY the GIANT)のスタイルに衝撃を受けたんですね。以前のNaomiさんの作品には、スクリーンプリントのポスターが多く見受けられますものね。
Naomi
はい。でも、世界感っていうか、スタイルを求めすぎて自分がダメになってしまった時があるんです。当時の僕は、中目黒で『大図実験』っていうギャラリーを始めたり、NYのアーティストと一緒にノースカロライナに大きな絵を描きに行ったりしてたんですが、そこに参加する周りのみんながスタイリッシュな絵ばかりで……。それを見て勘違いしちゃったんですよね。ボクもスタイルが欲しいって。自分はあえて自然な無意識状態から生まれるものが描きたいわけだから、彼らの絵を意識していてもそれで構わないという思いもあったんですが、迷ってしまって。両極端な考えが心の中でツイストされて……。ちょっとダメになっていた時期でした。
phofa
そんなスランプからどうやって脱出できたんですか?
Naomi
そんな想いから解放されたい一心で、唯一描けたのが“マル”だったんです。マルを見ておもしろいって言う人はいないかもしれませんが、当時の僕は「これが表現することであり、アートなんだ!!」って再発見できたんです。丸を描くのって、すっごい気持ちよくて、ずっと描いてたんですよね。そんなことをしているうちに、スタイリッシュさとかスタイルで悩んでいた自分がどこかに消えてしまいました。スタイルという形を求めるからスタイルにならなくて、やっぱり自分の精神的な部分、「実験を重ねて、創造性を刺激しながら、自然と形を成していく」やり方、それこそが僕のスタイルと呼べるものだったのかもしれません。
phofa
様々な企業やブランドに作品提供した中に、マルをテーマにした作品がありますよね?
Naomi
コラボレートに関わる活動の始まりは、作品を見て気に入って下さって、コラボで何か作りたいと言われたんです。そこで僕はコラボレート用の作品を描こうとしましたが、何も考えていない状態で書いた下書きの絵が1番良い出来だったんです。2回目はキレイになりすぎちゃったり、余計な意識が働いたりして変に汚れちゃうんですよね……。だから、1番最初に描いた無垢な下書きを提供して。ミュンヘンのグループショーに呼ばれて行った時に、キャップを渡されて「ショーのスポンサー用に何か書いて下さい」って言われて、マルを描いたらカッコいいのが生まれたんです。後にその絵がSTUSSYとのコラボレーション作品に使われることになったんですけど。スタイルにこだわっていた時は複雑なことをやろうと頑張ってたんですよね、出来もしないのに……。でも自分の表現方法としてマルがリンクし、繋がったっていうのもちょっとした良いきっかけだったんですね。

phofa
コラボレートというきっかけで生まれる新しい自分。今回のOAKLEY〈NAOMI SOUTH〉モデルについて、なにかエピソードはありますか?
Naomi
今までは白と黒のモノトーンカラーが1番強いと思い、その中のフェミニンでダークな感じをずっと追い求めてたんです。描き続けているうちにいつか色が出てくるんだろうと思ってたんですが、いつのまにか黒も消えちゃった……。今思えばデザイン自体に手を抜けないみたいなのがあって、結果、今回の作品は老若男女関係ないんですよね。狙った訳ではなく成り行きなんですが、ただ偶然っていうのは無いから、そういう何かがあったんだなぁと。それがやりたいって思っても絶対できないし、本当たまたま成り行きですよね。なんというか、結果が良ければいいんですよね。過程は自分が楽しむものであって、極端な話、過程が悪くても結果が良ければ!! 想像して想像して1つの作品に仕上げていってます。
phofa
では、今後の活動やクリエーションについて、思い描いていることはありますか?
Naomi
今年の4月にも“Bird”という名前でアート展をやっているんです。パワーがある猛獣みたいなイメージが最初にあったんですが、そこからさらに発展して、食べ物が育つ豊かな里山にイメージが変換していって。そういった意味で“美しい里=ビリー”っていうタイトルにしたんです。
phofa
最後に、読者にアドバイス&メッセージをお願いします。
Naomi
僕たちが生きているこの世界は、形にして見せないとリアリティがない世界だと思うんですよね。絵を描くのも洋服を作るのも、どれだけのことを想っていても形にして人に見せないと伝わらないじゃないですか? だからそういった意味でも、有限の世界で生きてるんだから、形にしてナンボだと思うんですよね。だからなにがなんでも形にしてやりきるということが大事だと思います。そうすれば、作品(形)に対してのリアクションが必ず生まれてくるし、次の自分にも繋がるし……。とにかくあきらめず、有限の世界で生きてるってことを忘れないってことが大事です。最初は自分がカッコいいって思うものに影響されて形にしただけなんだけど、それを繋げた先に、自分の中にしかない“夢中になれること”が見つけられるハズなんです。1つのことに思いっきり集中して一生懸命やる。形に変える。わかってもらえないとしてもそれはそれ。自分を貫く。続けることで知識を得ることや学ぶことって沢山あるんです。やっていく上で形にする勇気と行動があれば、現状はここまでしかできなくても後々どうにかなるんです。勇気と忍耐で自分の夢に向かって頑張ってほしいですね。

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