菅原一剛 / Ichigo Sugawara 菅原一剛 / Ichigo Sugawara

1960 年 神奈川県鎌倉生まれ。
大阪芸術大学芸術学部写真学科卒業後、早崎治氏に師事。フランスにてフリーの写真家として活動を開始して以来、数多くの個展を開催すると同時に、広告写真及びにCFなども手掛けその活動領域は多岐にわたる。
撮影監督を務めた映画「青い魚」は、1996年ベルリン国際映画祭にて正式招待作品として上映された。2004年フランス国立図書館に作品10 点が収蔵される。 また2005年6月には、ニューヨークのPace/MacGill Galleryにおける「Made in the Shade」展に出展。2006年12月~2007年、東京南青山のreed space tokyoにて「あたたかいところ」展、開催。

Ichigo Sugawara was born in Yokohama, Japan in 1960. He graduated from Osaka University of Arts in 1985 with a BFA majoring in photography. Since then, his signature black and white stills have captured the imagination of the world. In 1996, he was the director of photography in the movie Blue Fish, an officially invited film of the Berlin International Film Festival. More recently in 2004, his work became the permanent collection of the National Library of France. In 2005, he held a group exhibition with Robert Frank and Harry Callahan at the Pace/MacGill Gallery in New York and in 2006, he was the director of the opening of the animation Mushishi that won the best award in the Tokyo International Fair.

[+/-] English profile..


”闇”という名の本
2007 / 10 / 15 11:44 PM

いろいろあった夏が終わって、ぼくは先日、
弘前で開催された「Blues Power Live」に向かったその足で、
それだけの話をすると、すごく格好いいのだけれど、
雲を撮りに、北海道に向かいました。
場所は、友人の写真家・基敦氏が暮らす北富良野。
そこでぼくは、生まれて初めて偶然にも”鮭釣り”をしたのです!
これ、かなり男な釣りなのです。
結局、そんな鮭を釣り上げることは出来なかったのですが、
それでも、しっかりと数回ヒットして、
かなり大きな手応えを感じることが出来たのです。
すごく楽しかったのはもちろんのこと、
ぼくは、その鮭釣りで大切なことを思い出すことが出来ました。

ぼくが大学生の頃大好きだった開高健氏は、
その頃、自らを「釣り師」と呼んでいました。
とはいうものの、そんな彼が紡ぎ出す文章のすべては、
とてもあたたかくて、尚かつ美しくて、
ぼくは大好きだったのです。

その感じ、ちょっと忘れてしまっていたかもしれません。
もちろん、パリから戻ってきてからも、
パリの書店で買い求めていた文庫本の中から何冊か
改めて手に入れて、読んでいたりはしたのですが、
ぼくは、そのあたたかい感じを忘れていたのです。

それこそぼくが学生時代の開高健氏は、
次から次へと、釣りの本を中心に出版していました。
そして、多くのメディアにも登場していました。
でもそんな彼が、釣りと食に向かっていったのは、
他でもない、ベトナム戦争での経験からなのでした。

氏はベトナムから戻ってきて、
言葉を紡ぐことさえばかばかしくなりながらも
二冊の美しい小説を書きました。
「輝ける闇」〜「夏の闇」〜「花終わる闇(絶筆)」
と続く、”闇”三部作。
中でも「夏の闇」という小説は、推敲に推敲を重ねて書き上げた
とても美しい言葉がたくさん散りばめられた小説でした。
しかも、氏はそれ以降、一切小説を発表していません。

ぼくはまず、札幌で「フィッシュ・オン」という釣り本を手に入れました。
そして東京に戻ってきて、改めて「夏の闇」を読んだのです。

これちょっと、久しぶりにしびれました。
そして、改めて氏が”釣り”という道に向かっていったことが、
少しだけわかったような気がしたからなのです。

いずれにしても、実際に向かい合わないと、触れてみないと、
わからないことがたくさんあるということです。
それはきっと、いつの時代でも同じですよね。

ぼくもまだまだよくわかってはいませんが、
まずは、大好きな開高健氏に習って、
来年から、本格的に鮭釣りを始めたいと思っています。

だって「殿下」だから。(笑)

夏の闇 (新潮文庫)

夏の闇 (新潮文庫)








INFORMATION
LINK
TRANSLATE
  • Auto Translate
    This function will not provide you with a perfect translation.

ARCHIVES
FEED